欧州サッカー戦術&考察!

昔スポナビで運営してたブログサービスの引継いだブログ。ちなみにstramacioniは向こうでのユーザーネームです。

セットプレーの重要性。再考

セットプレーは、サッカーの得点の約3割を生んでいるといわれる、とても重要なプレーです。

2年前にフィオレンティーナで、そのセットプレーに革命を起こしたコーチが「ジョバンニ・ヴィオ」氏であります。

色々言う前に、そのジョバンニ・ヴィオ氏のメソッドの凝縮された有名な言葉の一部をご紹介します。

コーナーキックを例に取れば、ボールが放たれてからエリア内に達するまでの時間はおよそ0.3〜0.4秒。さらに、エリア内に到達したボールを味方が捉えた瞬間から起算して、そのシュートに反応するためにGKが必要とする時間がおおよそ0.4〜0.5秒とされる。したがって計0.7〜0.9秒のう ちの0.3秒ほどを削ればGKは反応出来なくなる。」

「セットプレーのパターンは6000通りある」というやつです。

この人の加入後(12〜13シーズンのフィオレンティーナ、欧州最多年間23ゴールを記録)こそ、色々なサイトで取り上げられることも多くありましたが、それから一年が立ち、流行が終わったかのように検証記事が無くなってしまいました。

その人がインザーギミランに引き抜かれたという事で、この記事を書くには丁度良いと思い、再考して掲載。

この「セットプレー専用コーチ」は、これから間違いなく世界のスタンダードになると思いますし、その可能性を秘めています。

以下理由…

データが取れる。

ちょっと脇道から話題に入ります。

野球のセイバーメトリクスの有効性を担保しているのは「投手が投げ、打者が打つ」という、「同じ条件下でのデータが比較可能」なのと「サンプル数を多く取れる」事です。(それ+独自の数字の読み解き方があってのアスレチックスの成績だった事は、ここではひとまず置いておきます)

同じ状況から、打者なら「四死球率は?ヒット率は?長打の確率は?」、ピッチャーなら「四死球率は?三振の数は?1アウト辺り何球投げてるのか?」等を、年間約100試合以上+打席数で、数える事が可能なので、詳細なデータが取れる訳です。ピッチャーは試合数(イニング数)でのデータですね。

(プロ前のドラフト選手でも、その選手の公式戦、練習試合等からデータを引っ張ってきて、その時点での出塁率、打力を比較して、将来性を測ったりする)

で、これもサンプル数が少ない…例えば60試合前後(通常のサッカーのリーグ戦+カップ戦の大体の数字))だと、「たまたま打てて数字が良い選手」だったり、「たまたま三振が多く数字が悪い選手」とかが、出てくるわけです。(今季(2014年)のメジャー、イチロー選手の6月迄のデータが顕著。興味がある方はお調べになってみて下さい。)

それで、これがなぜサッカーで活用できないかというと、「同じ条件で同じデータの比較の難しさ」と、「サンプル数の少なさ」です。

簡単に例えると「PK」は比較可能ですが、「ペナルティーエリアの決定力」は比較出来ないという事です。

「PK」は他の要因が全くないので、単純に成功回数だけの比較が出来ます。2シーズン前までバロテッリが100%決めてただとか、ルーニーの成功率が80%切ったとかの、あれですね。

ユース時代からトータルで何%決めているか?なども、指標として説得力があります。

…が、これが「ペナルティーエリアの決定力」となると、どうでしょうか?

ペナルティーエリアの決定力=決めたシュート数/シュート本数。

ペナルティーエリアでのシュート」と言っても、セットプレーorインプレーからなのか?クロスorスルーパスorドリブルからなのか?頭or足なのか?…これらを細分化したならばサンプル数が足りず、かと言って強引に一括りにしたら、あまり意味のないデータになってしまいます。

ここからさらに、シュートを撃った本数を出すわけですが、当然強いチームほどチャンスが多く数字が伸びやすい。

その上「シュートの数」自体にばらつきがあり、選手同士の比較が難しい(最大で1試合7本(クリスチャーノで今季最多)×(約)50試合で、PA内かどうかは問わず)ので、厳密に選手の優劣をつける指標(メッシとクリスチャーノのどちらが優秀か?等)にはなり得ません。

*シュート考察については、「明日は曇り」様をぜひご覧下さい。

http://sp.plus-blog.sportsnavi.com/tanakayamada/article/316?article_page=2

なので実際「使えるデータ」として見るには不確定要素が多すぎて、セイバーメトリクス分野は、サッカーではあまり活用されていません。

…が、そのデータが活かせる分野の一つが「セットプレー」なのです。

単純に「完全にセットされた状況から行うプレー」なので、状況が絞られていてデータが取りやすく、再現性が高い。

特にコーナーキックは確実にデータが取れます。

練習時のサンプルでも有効なため、これからデータを集めれば集めるほど、有効なセットプレーが生まれる可能性が高くなります。

ニア側、ファー側の決定率、ゴールマウスからの距離別の決定率、キッカーは左利き、右利きのどちらが有効か…等です。

フリーキックの場合は「どの距離から、どの角度で」等、データ収集は膨大な量が必要なので、コーナーキックより時間がかかると思いますが、いずれセオリーのようなものが出来上がってくると思います。

デザイン出来るプレーとしての先駆である、NFLのオフェンス、バスケットボールのスローインからの受け手の動きのパターン(スローインする人がいるので、オフェンス:ディフェンスが4:5で一人差ができ、デザインしないとパスが通せない)等、どの球技においても「セットされた状態から始まるプレー」は、重要なプレーとなっています。

そのスタンダードのようなモノが、サッカーのセットプレーにはなく(あるいは少なく)、発展の余地が多分に残っています。

サッカーでも、戦術面ではチーム練習のビデオ確認(モイーズがこれをやってなかった事に驚愕した)はもとより、練習のプレーの肉体的負荷を数値化するための装置(これにより練習メニューを変えていく*アンチェロッティ本より)、GPSを埋め込んだモノを着て、走った距離と場所を把握出来るようにしたりしています。

その負荷データでもって、選手のコンディションを管理するわけです。

NFLでも同様の事をしており…さらに一歩進めて、件の「デザインされたプレー」をどう落とし込んで行くかを決めています。

この方法が、そのままコーナーキックフリーキックいわゆる「セットプレー」に適応出来ると思うのが、これからセットプレーが伸びると思っている理由です。

ここを確立したチームが現れたら、サッキのミランの以来の革命になり、相当面白くなるので、期待も込めて…という記事でした♪

イタリア発の改革を、また期待しています♪