スポーツ好きの考察。欧州サッカー&NBA。

昔スポナビで運営してたブログサービスの引継いだブログ。ちなみにstramacioniは向こうでのユーザーネームです。

マジック、ファン・ハール。

コパ・アメリカモードになる前に、シーズンおさらい。

関係ないけど、NBAプレーオフが面白いなんてもんじゃないので、一度見てみて。笑

では本題へ。

■一年間

色々試してました。

そもそもユナイテッドの選手たちは「長所は凄いが、短所も凄い」メンバーで構成されています。

足は速いが戦術眼はないヤング、フィジカルが凄いが技術はないフェライニ、フィジカルはないが技術は凄いマタ、エレーラ等、ほぼ全員の得手不得手がハッキリしています。

*ルーニーディ・マリア以外。

マドリードバイエルンのように、全方位型のサッカーを可能とするメンバーはいないのです。

ならばどうするか?という事をひたすら試していた一年間でした。

フォーメーションも3バックからボックス442、433と移行していきました。

故障やコンディションにより様々な選手を試し、それに合わせたフォーメーションを構築していった。

そして、その一つの答えが出たのが、これから紹介するリヴァプール戦です。

ファン・ハールマジック433

スターティングメンバー

です。

これの凄いところは「ユニットの組み合わせ方」です。

この組み合わせで、選手達の個性が活きる形が出来上がりました。

そしてその動きの基本がこれ。

●得意な事だけやりましょう。

1、ルーニーフェライニ+ヤング

個の強さを活かすために、動きます。

基本的にはトップで張ってるルーニーさんですが、ビルドアップ時はボールをもらいに下がって来て、入れ違いにフェライニが上がっていきます。

ポイントはふたつあって、「下がって来るルーニーをマークするのが難しい」事と「最前線のフェライニでパワープレーが可能になる」事です。

1-1、ルーニーを誰が見るか?

トップ下ルーニーだと誰がマークするか分かりやすいのに対して、下りてくる場合はボランチ後ろから出てくる形になるので、非常に対応しずらい。

しかも高い位置でボールに触れるため、決定的なチャンスが作りやすくなりました。

トップ下出場時は前線にCFがいるため、どうしても低い位置でボールを受ける機会が多くなっていたのですが、ポジションの始点が最前線ならば自然に高い位置でボールを受けるため、ルーニーの攻撃能力が活きる形になりました。

1-2、最前線フェライニ

入れ違いにフェライニが上がっていくメリットは、当然フィジカルです。

分かってても物理的にどうしようもないフィジカルを活かし、放り込み&落としからのセカンドチャンスを狙う事に意味があります。

フェライニの長所はもちろんフィジカルです。

短所は、ボールを扱う技術があまり上手くない事と、戦術眼があまり良くない事です。

短所が中盤の選手としては致命的で、そのため冷遇される日々が続きました。

そこからの復活の理由はこのトップ下の起用と動きにあります。

フィジカルを活かしたパワープレー&ボールキープと、ある程度決まった動きする事で、フェライニの苦手なプレーをさせず、長所を最大限に活かせるようになったからです。

1-3、突貫ヤング

ヤング側にはあえて誰も寄って行かずに、一対一を仕掛けられるスペースを確保し、得意な形からチャンスを作る事に集中させます。

ヤングの長所は、スペースがある一対一で仕掛けてチャンスを作れる事です。

短所は、スペースが無くなるとやれる事がなく、組織的なパスが苦手な事です。

…と言う事は、ヤングをあえて孤立させるような形にし、スペースを確保すれば存分に仕掛けられるようになる。

ここでも、長所は活かし、苦手な事は極力させないような起用をしています。

⚫︎要するに

結果、この3人のユニットでの動きによって、ルーニー=フリーマン、ヤング=仕掛ける、フェライニ=パワープレー、という役割がハッキリし、攻め方が明確になり、さらに全員の長所が活きる事となりました。

2、マタ、エレーラ、バレンシア

左とは対照的に、組織重視です。

マタとエレーラは、フィジカル的要素(スピード&パワー)で勝てないので、急いで仕掛ける事はありません。

バレンシアが上がって来てからがスタート。

サイドラインは全てバレンシアに任せて、カットインするタイミングを図ります。

エレーラは、マタに合わせて動きます。

マタが下りてくるなら入れ違いに上がっていく、カットインするならパスコースを作る動きをするなど、丁寧なサポートをしながら崩しに参加していきます。

外にいるバレンシアをパスコースの保険として、中を二人で崩しに行くのがこちらサイドです。

⚫︎走る人達

カウンターも効果的になりました。

ルーニーとヤング(ディ・マリア)が残ります。

ヤングは言わずもがな、スピードとドリブルが持ち味の選手。

ルーニーはフィジカルと技術で、無理なボールでも収めてくれる。

かつ、パスが上手いので、その収めたボールの次の展開がチャンスに繋がりやすい。

相手DF次第ではトッテナム戦のような独走ゴールも可能なチートっぷり。

これはワントップルーニーのメリットの一つです。

ペルシーさんやファルカオでは不可能なカウンターが可能になりました。

◼︎見所は?

左右の攻め方の差です。

個人主義な左サイドと、組織重視の右サイドの対比はとても面白い。

言い換えるなら、プレミアリーグらしいゴリ押しの左サイドと、モダンサッカーの匂いがする右サイドを見比べる面白さです。

対強豪の試合では、カウンターも必見。

独力のみで違いを作れる、ルーニーディ・マリア、ヤングから二人が絡んだ高速カウンターは、侮れない破壊力です。

*下位チーム相手だとカウンターをするスペースがないので、対強豪のみで。

◼︎まとめ

1チーム内で、左右にここまで差がある組み合わせ方をして、なおかつバランスを失うことなく選手の個性を引き出せたのは、ファン・ハールマジック!

アンチェロッティさんもそうですが、トップ監督は「選手に合わせた選択肢」が豊富で、見極めが的確。凄い。

フィールドの使い方(ピッチを9分割にしたフィールドのバランス)も的確で、偏りなく攻められるようにしていますし、さすがの実力を見せて下さいました。

今年はCLがなかったので、トップチーム(各マドリー、バルサバイエルン)との対戦は観られませんでしたが、来季は遂に復活です。

どういう対策とシステムを使うのか?今から楽しみですね♪

◼︎おまけ

今季、記憶に残っているファン・ハールの会見でのやり取りを3つご紹介して終了します。

1、批判に対して起こした行動。

放り込みだと揶揄されまくった時に試合のデータファイルを配り、「試合のロングボールの割合はこの程度だ」という、らしいやり取りがありました。

実際のデータではロングボールはそこまで多くなかった。

2、ほっこり系

女性記者に「貴方はイメージと違って優しい人だ」と言われ、ファン・ハールは「オランダの記者はそう思ってくれないんだよ(苦笑)」という一幕も。

3、ユニーク系

選手表彰式典で、最後の挨拶をしていたプレゼンターからマイクを奪い取り、「注目してもらえるかな!」と切り出し、「君達は最高のファンだが、今夜は少し失望させられた。その理由を教えよう。見事なサクソフォンを吹いた女性に大きな拍手を送って欲しい!」と、女性奏者に対する礼賛をリクエストし、素晴らしい拍手と温かい笑いに包まれた一幕は、シーズンハイライト♪

傲慢なイメージを払拭し、名将の誉れは証明しつつあるファン・ハールさん。

全開でイケる来シーズン、楽しみにしています♪