スモールラインナップが流行った「本当の理由」。
カリー&トンプソンを「最大限に活かすため」。
戦術というのは「選手ありき」であり、戦術が先行することはない。
■プレーするのは「選手」
なぜか忘れられがち。
実際にプレーをするのは選手。
監督やコーチがプレーするわけではないのね。
その選手が「どうしたらもっと輝くようになるのか?」。
この答えが「戦術」。
選手達が「より快適に」「より効率的に」「より活躍するために」どうしたらいいのか?
その結果生まれたのが「スモールラインナップ」。
今のレイカーズ(2020年1月11日時点)がビッグラインナップなのも、単なる「流行り」ではない。
今のレイカーズの選手層で、選手達が輝くためにベストだと思う戦術を行った結果。
選手で戦術が決まる。
■選手>戦術
選手で戦術が決まる。
戦術の目的は「選手が輝くための方法を探す」事。
それを踏まえた上で、「なぜスモールラインナップなのか?」を考察する。
■スモールラインナップな理由
稀代の3Pシューターであるカリー&トンプソンに、「できるだけ多く」かつ「フリーで」シュートを放ってもらう事。
そのためには「相手の体勢が整う前に攻め込む「高速トランジション」に加え、「パスの上手い選手を多く配置する」必要がある。
■高速トランジション
速い展開に持ち込む利点は二つ。
1、3Pシュートをフリーで撃つこと
カウンターで相手と一対一で裏に広大なスペースがある場合、3Pシュートをシビアにチェックできない。
*抜かれると100%ゴールになるため
そのため、トランジジョンスリーはプレッシャーが緩い。
あの二人がフリー同然で撃てばほぼ決まる。
2、シュート本数を多くして3Pの有効性を上げること
単純に2Pを50回決めた得点と、3Pを50回決めた得点では「3Pの方が上」。
例えば、100回攻撃したとしよう。
フィールドゴール60%の2Pなら「120点」。
フィールドゴール40%の3Pなら「120点」。
この数字を上回る事が出来るなら勝てる。
スプラッシュブラザーズは40%を超える。
あとは「いかにして本数を撃たせるか?」がポイントになる。
そしてそれは「高速トランジション」で解決できる。
■パスの上手い選手を配置する
スプラッシュブラザーズに良い形でボールを渡すこと。
高速で攻め込んでも、視野が狭い選手ばかりだと「スプラッシュブラザーズに良い形でボールが回せない」。
せっかくフリーになってても、ゴールに突進していく選手ばかりでは機能しない。
しかしながら、ウオーリアーズにはパスが上手く身体が強い選手がいた。
「グリーン」。
そしてそのポジションを補うもう一つの頭脳「イグダーラ」が。
この二人を配置し、高速で走り回り、フリーの選手に逃さずパスを送る。
フリーの選手は高確率で3Pを決めるスプラッシュブラザーズ&デュラント。
かくしてスモールラインナップの完成。
■弱点もある
1、撃ち合いに負けないDF重視のチーム
攻撃が機能しない場合。
…なんだが、スプラッシュブラザーズ+デュラントだった頃は「防ぎようがなかった」。
全員が絶不調ってことはまずなくて、誰かが当たってればお任せモードでいけた。
デュラントはパスも上手いし。
「撃ち合いを強制される」ってのが当時のウオーリアーズが最強たる所以。
トンプソン&デュラントが抜けたウオーリアーズを、トロントが粉砕したのは記憶に新しいところ。
2、攻撃面で上回れる場合
攻撃性能で負ける場合。
これもスプラッシュブラザーズ+デュラントがそろい踏みの時は不可能だった。
まさに王朝。
抜けた今は何とかなる。
■まとめ
選手で戦術は決まる。
流行りの戦術などはない。
ただ今いる選手達に最高のプレーをしてもらいたいと考えて実行するのが「戦術」。
その結果生まれたのが「スモールラインナップ」というだけ。
プレーするのは、人間であり、人類最高の技術を持った「選手」です。
人のための戦術。
戦術のために人がいるのではない。
ぜひ「人」に注目してください。
それが原点であり、それ以外の事は些末事です。
最高のプレーを楽しみましょう!